上に

　彼は、日立に行く時、僕に

　「上を目指して」

　と言った。これは役職のことではなく、漢として、もっと高みに、とか受けとっていたりする。

　今回、僕は

　「オーボエで上を目指して」

　と声をかけた。その世界で、上にいってほしい。
　辞めるにしても、何か、目標を持って辞めて欲しいんだ。

　僕の代は最初、23，4人いた。名簿だけってのもあったけど。異常な数だ。まあ普通に考えてもこんなにいる一年生をかまえるわけがない。

　人が減る。
　仲良い人が辞めていく。
　何人かの人からは、相談を受けていたりした。
　（これはかなり辛かった）
　ただ、何かやりたいことがあって辞める分には、かまわないと思う。悲しいのは、辛いから、自分の時間が欲しいから、という理由。
　やりたいことがある人のことは応援してあげたい。

　現在7人。結局よく和室にいるのは、何かをやりたくてここに入った人か。

　彼とは2人で一緒に入った。
　高校からの友達。
　文化祭実行委員も一緒にやった。　
　
　1年の時は2人でたくさん話した。
　これが無駄だ、とか。
　ここを変えたい、とか。
　会議が、とか。　
　
　かけもちの関係上、この組織を団体側から見た意見をたくさん聞けた。どう思われているかも知った。貴重な意見だった。
　　
　僕がここまでやってこれたのも彼のおかげだったと思う。1年のころの僕は、彼ぐらいしか腹を割って話せる人がいなかった。

　いなくなるのは寂しいけど、お互いに、お互いが選んだ道を行く。　　　
　　
　友人関係がなくなるわけじゃない。
　管弦の世界で上に行く君を、僕は応援しているからさ。